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各菌の特徴

ピロリ菌(ヘリコバクターピロリ菌)とは?

ピロリ菌(ヘリコバクターピロリ菌)
胃では食物を消化するために強い酸(胃酸)が作られています。このため、普通の細菌はこの胃酸で死んでしまいます。ほんの20年前近く前までは、「胃には細菌なんか住めない」のが常識でした。ところが、このピロリ菌は、強い胃酸の中で生きることができるのです。但し、彼らも生きていくために、この胃酸に対抗して我が身を守るしくみをもっています。これが結果として、胃に悪い影響を与えて、胃を荒らしたり(胃炎)、潰瘍を再発させたりするのです。ピロリ菌は、細長い鞭毛を持って(写真参照)、胃粘膜の表面や、細胞の隙間に住んでいます。
日本人のピロリ菌保菌率は10-19才で約20%、20-29才で約27%、30-39才で約45%、40歳以上ともなりますと80%を超える状況です。

MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)とは?

MRSAは、メチシリンなど従来の抗生物質が効かない黄色ブドウ球菌。多くの抗生物質が効かなくなった耐性菌で、高齢者や手術直後の患者など抵抗力の衰えた人の体内で繁殖し、肺炎や腸炎、敗血症などを引き起こして患者が死亡するケースもある。感染予防には手洗いなどの衛生管理が必要です。

O-157(腸管出血性大腸菌)とは?

O-157(腸管出血性大腸菌)
O-157は 病原性大腸菌の一種類です。感染経路としては、O-157を保有する動物や人の糞便中の菌により間接または直接に汚染された食品や水によって経口的に感染します。
症状としては、はじめは腹痛や水溶性の下痢ですが、下痢は後に血性となることもあります。まれに、溶血性尿毒症性症候群 HUS (尿量の減少、血尿、蛋白尿、血小板の減少による出血傾向、赤血球の破壊による貧血などの重篤な疾患です)を発症することがあります。予防としては、食事を作るときは常に清潔を心がけ手洗いの励行、まな板、包丁は肉類を調理した後は必ず熱湯消毒するように心がけ、決して素手で食材の盛りつけを行わないことが肝要です。また、食品を加熱調理するときは、食品の中まで十分に熱が通るように、また調理後はなるべく早く食事をして下さい。
 
<<更に詳しく知りたい方は>>
日本細菌学会ホームページを参照してください。

カビとは?

1)アスペルギルス(コウジカビ)

アスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)のように醸造に欠かすことの出来ない菌、有機酸製造に応用されるアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、発ガン性のカビ毒を産生するアスペルギルス・フラバス(Aspergillus flavus)など、約150菌種がこの属に含まれます。集落の色調は、緑、黄土色、茶、黒、しろ、青緑と菌種によって様々です。

2)ペニシリウム(アオカビ)

本菌は、アオカビとも呼ばれ、青緑色の集落をつくるのが特徴で、約150菌種に分類
されています。その中にはペニシリンをつくったり、チーズの製造に用いられるペニ
シリウム・カマンベルティ(P.camemberti)や、黄変米の原因菌として知られるペニシ
リウム・シトリナム(P.citrinum)、ペニシリウム・イスランジカム(P.islandicum)の
ほか、オクラトキシンやペニシリン酸を産生するペニシリウム・ベロッコサム
(P.verrucosum)などのカビ毒産生菌も含まれます

3)クラドスポリウム(クロカビ)

空気中で最も高頻度にであうカビ。クラドスポリウムの胞子は空気中に極めて多数検出されます。気象条件にもよりますが,胞子は大気中に5月頃より現れ,7~10月のいずれかにピークを迎えます。クラドスポリウムは,枯れかけている,もしくは枯れた植物にコロニーを形成するカビ類の中で,最もよく見かけるものです。時に,シダ類,コケ類,水性や砂漠に生えるさまざまな植物の葉や幹にコロニーを形成します。
土壌中や穀物,キュウリ,トマト,モモなどの食物中でも繁殖します。クラドスポリウムは掃除のされていない冷蔵庫や,湿った窓枠,換気の悪い家屋,藁葺屋根の家,低湿地にある家屋などでしばしば見かけられます。至適発育温度は18℃から28℃まで広がりをもっています。
 
クラドスポリウムは,アレルギー患者において極めてよく皮膚テストが陽性になるカビ類のひとつであることが検証されています。フィンランドから出された喘息児1,300人についての報告では,クラドスポリウムの皮膚テストで7.1%に3+の反応が検出され, その研究において症状を引き起こしたアレルゲンの中でも,最も頻繁に認められるものであったという報告があります。組成としては19.5%のタンパクと80.2%の炭水化物から構成されています。
 
食品衛生上問題のあるカビについての詳細は下記参照
東京都健康局食品医薬品安全部食品監視課
食品衛生の窓>カビとカビ毒
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shokuhin/kabi/kabil.html

食中毒菌とは?

1.腸炎ビブリオ

腸炎ビブリオ
特徴
細菌性食中毒の中で、最近までもっとも発生件数の多かったものが腸炎ビブリオによ る食中毒です。この細菌は海水や海中の泥に潜み、夏になると集中的に発生します。 ただし、熱に弱く、100℃では数分で死滅し、5℃以下ではほとんど増殖しないと いう性質があります。
 
症状
喫食後、10~24時間後に激しい腹痛と下痢がおこります。特に腹痛はさしこむよ うな激痛で、猛烈な苦しさを伴います。また、激しい下痢がなんども続くため、脱水 症状をおこすこともあります。
発熱はあまりなく、ほとんどは抗生物質の投与などで2~3日で回復します。ただ し、水のような便が正常に戻るまでには1週間くらいかかります。

2.サルモネラ菌

サルモネラ菌
愛知県衛生研究所
微生物部撮影
特徴
もともと自然界に広く分布し、牛・豚・鶏などの家畜・家禽、犬や猫などのペットも 保有しています。一般に1g中に10,000個以上の菌が増殖した食品を食べると 感染し、急性胃腸炎をおこします。しかし、幼児や高齢者はわずかな菌量でも感染し ます。
 
症状
喫食後、半日から2日後までに吐き気やへそ周辺の腹痛がおこります。この後、水の ような便や軟らかい便が出て、38℃前後まで発熱し、下痢をくりかえします。この ような症状は1日から4日ほど続きますが、ほとんどの場合は点滴や抗生物質などで 治ります。
カゼと症状がよく似ていますので注意してください。

3.カンピロバクター

カンピロバクター
愛知県衛生研究所
微生物部撮影
特徴
最近になって発生件数が増え、注目されている食中毒菌です。ふだんは鶏や牛などの 腸に住み、食品や飲料水を通して感染します。少量で感染し、人から人へ直接感染し たり、ペットから接触感染する例もあります。
 
症状
感染から発症するまで2~7日かかります。まず、発熱、けん怠感、頭痛、めまい、 筋肉痛がおこり、次に吐き気や腹痛におそわれます。
その後、数時間から2日後までに下痢がおこり、水のような便が出ます。1日の下痢 回数は2~6回くらいで、ときには10回以上におよぶこともあります。

4.黄色ブドウ球菌

黄色ブドウ球菌
愛知県衛生研究所
微生物部撮影
特徴
黄色ブドウ球菌は自然界に広く分布しており、健康な人の皮膚やのどなどにもいます。し かし、この細菌が食中毒をおこすのは、汚染された食品の中で毒素をつくるときだけ です。ただし、いろいろな食品の中で増殖し、毒素は熱や乾燥にも強いという性質が あるので、十分な注意が必要です。
 
症状
喫食後、およそ3時間以内に吐き気や激しい嘔吐がおこります。腹痛や下痢も伴いま すが、38℃以上の高熱になることはあまりありません。
ほとんどが24時間以内に回復しますが、脱水症状になると点滴などが必要になります。
 
○知ろう!防ごう!食中毒 より 社団法人日本食品衛生協会 
詳しくは下記まで
http://www.n-shokuei.jp/saikin/index2.html

5.大腸菌

特徴
グラム陰性の桿菌で通性嫌気性菌に属し、環境中に存在するバクテリアの中で主要な 種の一つである。この菌は腸内細菌であり、温血動物(鳥類、哺乳類)の消化管内、 特に大腸に生息する。バクテリアの代表としてモデル生物の一つとなっており、各種 の研究で材料とされるほか、遺伝子を組み込んで有用な化学物質の生産にも利用され る。腸内に生息する菌であることから、この菌の存在は糞便による水の汚染を示唆 し、河川、湖、海水浴場などの環境水の汚れの程度の指標として用いられる。また、 水道水からは「検出されてはならない」とされている。。
 
症状
E.coliは無害であるが、いくつかのケースでは疾患の原因となることがある。 人体には、血液中や尿路系に侵入した場合に病原体となる。内毒素を産生するため、 大腸菌による敗血症は重篤なエンドトキシンショックを引き起こす。
E.coliの新しい株は突然変異によって出現し、これらの新しく出現した株の中 には宿主の動物に害となりうる性質を持つものもある。 大部分の健康な成人の持っ ている株では下痢を起こす程度で 何の症状も示さないものがほとんどであるが、幼 児や 病気などによって衰弱している者、あるいはある種の薬物を服用している者な どでは、特殊な株が病気を引き起こすことがあり、時として死亡に至ることもある。 E.coliの株の中でも特に強い病原性を示すものとしては O157(Escherichia coli O157:H7) などが知られている。
 

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